Zakkan (雑感)

趣味の雑感。
夢を見た
さて、いちいち落ち込んでいる暇はないので、気持ち新たに歩き出すことにした。

そんな昨夜は何故か夢をみた。今から20年以上前、父親と南紀へ出かけた時の夢だ。起きてから当時のことを鮮明に思い出すことができた。

きっかけは、テレビで大阪の天王寺から和歌山の新宮を結ぶ、夜行普通列車が紹介されていたこと。当時(今も)鉄道少年だった私が「乗りたい」と言ったのが始まりらしい。「JR」ではなく、まだ「国鉄」だった。

私は小学4年生位で、春休みだったと思う。夕食後、父と家を出発して夜の天王寺へ着いた。時間があるので、駅前のハンバーガー店で過ごしたと思う。こんな時間でも大阪はずいぶん賑やかだと思った。
阪和線ホームに上がると、すでに並んでいる人達がいた。待ちくたびれた頃、入線案内があった。阪和線の天王寺は阪急電車の梅田みたいに、行き止まり式の駅。電車なら両端に運転席があるので問題ないが、新宮行きは機関車が客車を牽く列車。誘導員が旗を振り、機関車が後押しでバック入線してきた。
先頭に立つ電気機関車は、戦後、新幹線開業前の東海道で活躍したEF58型。流線型のデザインで、特急「つばめ」等を牽引した。鉄道マニアに人気がある。当時は紀伊半島で最後の活躍をしていた。(現在は営業用として残っていない)

青い客車に乗り込むと、車内はクーラーボックスや釣竿でいっぱい。この列車は「太公望列車」でもあった。夜明け前に串本や白浜に到着するので、太平洋の釣人達に人気があった。乗客はオジサンばかりで、子供は私くらいしかいなかった。
天王寺発車は23時頃だろうか。ビール片手に話す人達で割と賑やかだった。
日付が変わる和歌山につく頃は、さすがに眠くなった。しかし、普通列車の4人掛け座席での就寝が初体験の私は、寝る体制の確保に悪戦苦闘・・。しかも車内は煌々と照明が灯る。暖房が効きすぎて暑い・・。

騒々しさに気がつけば、本州最南端の串本で、半分以上の人が降りた。
車窓に太平洋が見えるはずだが、外は真っ暗。
5時頃だったか。夜明け前の新宮に到着。結局3時間ほどしか眠れなかった。
その機関車を見るべく前へ歩いたが、すぐに切り離されてしまった。
「座ったままで眠れたか?顔がひしゃげてるで」と父が言った。

新宮は、紀伊半島の街だけあって、ずいぶん暖かかった。
待合室でウトウトしてから、早朝の特急「くろしお号」で天王寺へ引き返した。さすがに父も眠かったのか、目的を果たした私が満足するのを見届けたのか、とんぼ返りだった。「くろしお」の中では半分位寝ていたが、これも初めて電車なので、勿体無いと思って必死に外を眺めていた。短い編成の特急だと思った。新宮を4両で出発し、白浜から前に4両を連結した。

昼前には、大阪に着いていた。当時、梅田の旭屋書店7Fにあった、「マッハ模型」に行きたいと私がねだった。そこで電車庫のキットを買ってもらった。小遣いの限られる当時の小学生にとって、こういうときこそチャンスである。
(昔も今もやっていることは変わらない。しかも、好きなだけ小遣いが無いという点も変わらない;)

そんな父との南紀への旅だった。この夜行列車はすでに廃止されてしまったが、今も特急「くろしお」は大阪と白浜・新宮を結んでいる。

健在の父は、昨年から祖父になった。普段黙っているが、孫がたいへん可愛いらしい。そんな父の背中を見てきた私も、当時の父の年齢に近づこうとしている。私も子供の思い出を作ることができれば、と思うのだった。
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