Zakkan (雑感)

趣味の雑感。
玉野の電車

昨日、Tさんより冊子を頂いた「玉野市電の軌跡」
先週、四国・高松へ行った際に入手したとのこと。

瀬戸内海に面した岡山県玉野市。「宇高連絡船」の宇野港がある場所と言ったほうがわかりやすい。ここには、35年前まで鉄道があった。国鉄宇野駅を始発とする、わずか4.5kmのミニ鉄道。最初は「備南電鉄」という私鉄で開通したが、赤字により玉野市が営業を引き受けた。(昭和47年廃止)

ここで活躍した3両の電車は数奇な運命を辿った。昭和26年製造。
昭和24年、山形県で「蔵王高速電鉄」という鉄道が計画されていた。その名前からして壮大だ。しかし山形から上山温泉まで工事が始まったところで会社が倒産。3両の電車はその注文流れ品だという。電車の写真を見る限り、あまり「高速」には見えないが、蒸気機関車の時代、地方の人達にとって、電車は「高速」の象徴だったと推測できる。平成の世になって、北陸や東北の人達が新幹線や高速道路を熱望するように。

3両の電車は、ちょうど開通前の備南電鉄(後の玉野市営鉄道)が買い取った。当初の北国での内定から一転して温暖な瀬戸内海での活躍。しかし、赤字経営が続き、昭和39年、コスト削減のため、動力をディーゼル車に変更した。
リストラとなった電車は、対岸の四国、高松琴平電鉄(琴電)に引き取られ、1両は事故廃車となったものの、2両は今も活躍中…。

この経緯は、十数年前に「鉄道廃線跡を歩く」(JTB刊)で初めて知り、強烈な印象を受けて記憶の片隅に残っていた。

今回頂いた冊子によると・・平成16年、廃車を控えた最後の1両、760号はその花道として、琴電にやってきた当初の色、クリーム・茶色のツートン色に戻された。それを見た玉野の人達が呼びかけあって、保存の話が持ちあがった。昨年9月、760号は再び海を渡り、故郷・玉野市に引き取られ、保存されたとのこと。

波瀾万丈の人生。まるで絵本のような話。解体を逃れ、安住の地を得た今、電車は何を思っているのだろうか。ちょっと胸が熱くなる話。
その760号電車は、玉野市「すこやかセンター」という場所に保存。

岡山へ行ったら見てみたい。そういえば玉野市には「おもちゃ王国」もある。出かける理由付けになりそう・・。
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