Zakkan (雑感)

趣味の雑感。
江ノ電の夢
ネットのニュースを見ていたら、10年前の話がここに蘇っていた。

“江ノ島電鉄(神奈川県藤沢市)は22日、「運転士になりたい」という夢を持ちながら10年前、難病で亡くなった少年(当時16歳)に運転士の辞令を発令する。少年は亡くなる4日前、運転席に試乗してハンドルを握る夢をかなえたが、毎日新聞神奈川県内版で当時のいきさつを知った深谷研二社長が「ぜひ夢の続きを」と、本物と同じ辞令書を少年の父親に手渡すことにした。”(以上記事より)

本当にあった話で、絵本にもなっている。

「はしれ江ノ電 ひかりのなかへ」

https://www.php.co.jp/bookstore/detail.php?select=4-569-68198-0

以前、偶然目にして涙したのを思い出した。

絵本の内容と実話のエピソードを交えて解説すると・・
子供の頃から心臓に難病を患っていた少年は、小さい頃からよく利用した江ノ電の運転士になりたいと言っていた。しかし病は進行し、余命僅かの宣告を受ける。
父親は何とか電車を運転させてやれないか、何度も江ノ電に打診したが、営業線上で免許を持たない者に運転させるなど、法律ではどうにも無理な話だった。日々悪化する少年の容態。焦る日々・・。
その試乗は電車区内でできないかということになった。しかし海と山に囲まれた鎌倉・極楽寺電車区の構内は狭い。万一、少年の容態が急変して電車が停車できず本線に流出してしまったら大事故になる・・。またしても壁に突き当たった。
そこで江ノ電は決断した。本線に繫がるポイント上に別の電車を置いて、万一の際はその車両が防護壁となるように対策を取った。

そして当日、少年は全区間で運転席に添乗し、沿線風景を堪能した。線路沿いの道路を医師・看護師を乗せた車が並走し、緊急事態に備えた。
そして電車区構内。運転士に手を添えられて、100mほどの距離だったが「タンコロ」こと108形の運転を彼は体験することができた。旅立つ4日前の出来事だった。

あらゆる困難を乗り越え、少年の夢を叶えるために決断を下した鉄道会社と、奔走した周囲の大人たちの情熱は決して忘れることができない。

今日も江ノ電は湘南の海を見ながら走っている。少年の夢を乗せて。








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