Zakkan (雑感)

趣味の雑感。
言葉の温度
今年度の新入職員に一年間の成果と目標を発表させる研修があった。研修担当の私は司会役だった。

その中で、原稿を見ずに暗記で発表した子がいた。思わず感心した私は最後の挨拶に、発表者全員を称えた後、彼女はすごいですね。自分には真似できないという発言をした。

終了後、

「ひとりだけ引き合いに出して、残りの人が気分を悪くするかもしれないんじゃないかな。それが俺の感想だ。生かすも殺すも、司会ってのは難しいんだよ」

後で部長が私に指摘した。
確かにこのような場で個人的な感想を漏らすことはいただけない。余計なひとことで最後にお茶を濁してしまった…。
過去にもこんなことがあったかもしれないが、初めて指摘してもらい、目から鱗だった。

帰り道、電車で会ったKさんに話した。

「俺なんかしょっちゅう注意されるよ、いい勉強になったね」

こうして指導してもらえるうちは恵まれている。もういい歳だが…


姫路駅。乗換え時間に遅い夕食のカツ丼を食べながら、「言葉が持つ温度」について考えた。


前原外務大臣が、外国人からの献金問題で辞任した。
京都の在日韓国人女性からの年間5万円が献金だった。
献金とされる焼肉屋のおばちゃんは、前原氏が若い頃から旧知で「がんばりや!」という発端を咀嚼しないまま、「前原も黒か!民主党破れたり!ざまあみろ!」というワイドショー。
確かに法律に抵触する事件だが、おばちゃんの情と結果として献金になった経緯は何処にも触れられていない。


京都大学入試のカンニング事件。
容疑者の予備校生の行為は許されないことだが、まるで勧善懲悪のような言葉で山形県の住居地まで報じられている。
田舎では近所の噂になって、もうその土地に住めないだろう…

例えば、誰もが顔見知りのエリアに住む義母は、
「〇〇さんの娘は出戻りよ」

「あそこの爺さんはひき逃げで捕まった」

外来者の私に噂を吹き込むくらいなので、山形の予備校生一家はどうなるか想像がつく。

「もう二度と大学受験するな、社会に出てくるな!」という針の筵の報道に見えてしまう。これでは凶悪犯罪者扱いだ。
しかも「こんな手口でカンニングしたんだよ〜ズルイね、奥さん」と解説する、みのもんた。


「言葉」を伴い、聴覚と視覚を通じて伝達されるものほど、相手に与える影響は大きい。
文章は発表する前に修正がきくが、言葉は使い方ひとつでお湯にも氷にもなる。
視聴率を稼ぐための興味本位の報道姿勢こそ問題だが、言葉の温度を正しく調節できるかで相手の心が左右される。
適切な言語能力を備えておきたい。
自分の発言を含めて思った。

今までの経験から、特に「師」「士」がつく専門職の方の多くは、言語能力に長けているような気がする。相手に理解してもらう必要があるから…。


ん?自分も名前に「し」がつくが…
ゴチャゴチャ書いていますが、昔から喋りはダメな奴なんです…

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