Zakkan (雑感)

趣味の雑感。
遺構

中世ヨーロッパの城みたいな建物。これは紛れもなく日本の風景で、32年前に廃止された姫路市営モノレールの終着「手柄山駅」跡だ。中央のトンネルみたいな部分がコンクリートで塞がれているが、ここから軌道が空中に飛び出していた。写真は昨日の水族館の隣にある。私が子供の頃はまだ軌道が残されており、トンネル部は板で塞がれて、錆びた高架軌道が延々と空をまたいでいた。何とも不気味な光景だったのを思い出す。
開業からわずか8年で廃止されたモノレール。市街地には廃墟のように柱が残っている場所もある。昭和41年、姫路博覧会開催時、駅と会場を結ぶ交通機関として計画され、当時の市長が強引に建設したと言われる。
兵庫県では神戸に次ぐ街の意地で、高度経済成長を誇示したかったのだろうか。新潟市の水族館が「日本海側最大級」と謳っているのと何となくダブる。

当時の姫路市「未来予想図」には、モノレールと高速道路が姫路城を周回するという図工の自由課題みたいなイラストがあり、度肝を抜かれる。モノレールは通勤の足のみならず、将来は日本海側、舞鶴市などへ延ばすという理想までもあったらしい・・。
これが車社会が見直されている今日の話なら、陽の目を見る可能性が多少はあったかもしれない。(舞鶴延長は無理だが)
撤去には膨大な費用がかかるらしく、再開発の場所から順次撤去されているが、半分位手着かずだ。塞がれたトンネル内の駅跡にはモノレールの車両が残されているらしいが、見学などは一切できない。姫路市としては、公表したくない産物なのだろう。
世界遺産のある街には、負の遺産も平成の世に残っているのだった。
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