Zakkan (雑感)

趣味の雑感。
最後の春

今日は暖かい。すっかり春の陽気。
昼で仕事を終えた後、急に思い立ち、今月一杯で廃止となる三木鉄道に寄ることにした。沿線まで勤務先から車で15分。葬式鉄(廃止前になって押し寄せるマニア)はあまりよくないが、地元の鉄道の最後をもう一度見てみたい。

沿線で写真でも撮ろうかと思ったが、あいにく携帯電話のカメラしかない。時刻を調べると乗れそうなので、始発の厄神駅(加古川市)駐車場に車を置き、三木まで往復することにした。

意外に人が少ないと思いきや・・三木からの折り返し列車は超満員。乗客の1/3はお別れ乗車の地元の人。残りは鉄道マニア。こんなに混雑する三木鉄道は初めて見る。殆どの人が三木から来て戻るようだ。
私は仕事帰りで場違いな格好のマニアだが、皆に続いて1両の小型ディーゼル車に乗る。

すぐに満員で発車。体格の立派な人が多いので小さな車両が余計に狭い。おまけに汗臭い…。廃止前の鉄道に見られるおきまりのパターン。
沿線にもカメラの砲列。コラ、ヒトの畑に入るんじゃない!
この調子では来週末と最終日は大変だろう。

大正5年、三木鉄道は播州鉄道(現JR加古川線)の支線として開通した。
兵庫県のほぼ中央部に位置する三木市は金物の街。国鉄三木線となった後も沿線の特産品や加古川方面の通勤客を運んだ。
しかし三木市からは神戸方面へ人の流れが大きく、逆方向の三木線は不利だったようだ。何よりも自動車の普及が痛手となった。
昭和60年、国鉄から切り離される格好で、三木市を筆頭とする鉄道事業者「三木鉄道」となった。第3セクター鉄道の草分け的存在。しかし、補助金も底を尽き、経営難からついに廃止が決定された。三木鉄道となってから22年の歳月を経ていた。

何の変化もない、田園を一直線に線路が続くローカル線。
各駅には、沿線の小学生や自治会による感謝のメッセージを記したのぼりが掲げてあった。
わずか20分の旅。終点三木は開業時の木造駅舎。大勢の乗客で賑わっていた。
待合室で販売の鉄道グッズもよく売れる。せっかくなのでマウスパットを購入。硬券入場券も。
マニアらしい事ができて満足。

滞在20分で折り返し。既に満員でドア付近に立つ。

明るい緑の草原と菜の花畑を見ながら走る。白地に赤・青ラインの車体が映える。
しかし、この鉄道は満開の桜を見ることなく終わるのだろうか。東京では今日、桜が開花したというが・・。

厄神に戻ってきた。わずか5分の停車で鈴なりの乗客を詰め込んで折り返す。

「発車しま〜す。乗られませんか〜?」

普段は居ないガードマンの声が響く。
短い汽笛とともに、列車は同じ線路を戻っていった。
見えなくなるまでホームで見送り。再び静かになった。厄神駅に車を停めているのは私くらいのようだ。
ガードマンの方曰く、来週が正念場とのこと。お疲れ様です。

今日のうちに瞼に焼き付けておいて良かったかも。
この陽気は卒業式のような切なさと重なる。ありがとう。三木鉄道。

ちなみにお土産?は、こんなペーパークラフトができるハガキ。



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