Zakkan (雑感)

趣味の雑感。
渡り鳥・白鳥


先日落札した模型に「白鳥」のマークがついており、その特急「白鳥」号を思い出してしまった。

大阪〜青森間、1,000km以上、日本海沿いを日中12時間以上かけて走破する。昼行では日本最長、1日1本の特急列車。1961年の誕生から、ずっと同区間を走り続けてきたが、時代の流れには抗えず、2001年3月に廃止された。
(現在、同名称が引き継がれた列車として、本州〜北海道を結ぶ特急として、八戸〜函館間に存在する)

その白鳥号だが、さすがに大阪〜青森を通して利用したことはないものの、新潟在住の頃と実家に戻ってから廃止までの数年間は、大阪〜新潟間でよくお世話になった。大阪を10時過ぎに出発し、新潟着は夕方16:30.これでも約半分の区間で、終点青森は23:30頃着。その昔は青函連絡船に連絡していたという。

白鳥は進行方向が変わる新潟で長時間停車する。車内の大掃除を横目に、足腰フラフラで降りたものだった。1997年頃から廃止まで、有終の美を飾るかの如く、赤とクリームの元祖特急車両になった。見た目はマニアに嬉しいのだが、何せ30年位前の電車なのでボロい。真冬に乗車したある日、連休の最終日で混雑し、雪で遅れ、窓ガラスは割れ、ガムテープで応急処置。ゴミ箱は弁当の空箱で溢れ返り、隣車両のトイレは故障、「指定席」の札にはヒビが入り、満身創痍の渡り鳥という具合の旅だった。まさに渡り鳥「白鳥」だ。
おそらく、沿線に飛来する「白鳥」が名称の由来だと思うが。私の場合は、湖で餌をもらう姿より、田んぼで雪の塊みたいになっている白鳥の印象が強い。

さておき、その大掃除は新津辺りから始まり、すっかり日の落ちた新潟に到着。新しい乗客を詰め込むと、慌しく青森目指して出発していった。そんな白鳥号だが、車内放送で「特別急行列車白鳥号、青森行でございます」と案内していたことがある。白鳥の貫禄というか、威厳みたいなものを感じた。(特別急行列車:特急の正式名称)

青森→新潟の区間を利用したこともある。北海道へ旅行した帰り、列車が遅れて未明に青森駅に到着。仕方なく待合室で一夜を明かし、6時始発の白鳥で新潟へ帰った。徹夜と旅の疲れで、弘前辺りから記憶がない。椅子を回転させる音で目が覚めた。時間は12:30.すでに新潟に着いており、あやうく大阪まで連行されるところだった。

その白鳥の上下列車は14時頃、新潟県糸魚川付近ですれ違っていた。一瞬の出来事だが、長距離ランナーが合図を交わすように。
たいていの乗客は、金沢、富山、新潟、秋田で入れ替わっていた。この時代に通して利用する人はいるのか?と思ったことがあるが、意外に東北から京都への修学旅行生がお得意さんだったという。時間はかかっても直通だから。

遅い櫻前線、鮮やかな若葉、紺碧の日本海、山の冠雪、出会いと別れ、切なる想い・・いろんな思い出を乗せて私を運んでくれた、渡り鳥「白鳥」号。青春特別急行かもしれない。

写真:大阪〜青森「白鳥耐久ツアー」に旅立つOB先輩方を見送り。
2000年9月 大阪駅にて。
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