Zakkan (雑感)

趣味の雑感。
国鉄時代
「国鉄時代」という季刊誌がある。
今回の15号にTさんによる蒸気機関車の写真が掲載されている。
昭和47年、播但線を走るC57の3重連。
http://shopping.hobidas.com/shop/hobidas-syoten/item/39790811.html
立ち読みしただけなのだが、この頃にタイムスリップしてみたいと思わせる1冊。
いつも思うに、この種の本に掲載されている写真を見る限り、とにかくおおらかな時代だったと思う。機関区に挨拶すればスンナリ入れてくれ、ホームを降りてカメラを構えても文句を言われない。蒸気機関車の運転室に添乗までさせてくれたという。
国鉄という大きな組織の裾野の広さを感じさせる。

何よりも、鉄道愛好者の想いと国鉄職員の気持ちが寄り添い、フレンドリーかつ礼節をわきまえた好関係だったことが伺える。
勝手な想像だが、この本のモノクロ写真を見ていると・・

「兄ちゃん、何やってんのや」

「もうすぐSLの3重連が来るんです。今年でSLは終わりです」

「それで最近カメラの連中が多いんか。まあ、握り飯でも食べや」

等というのんびりしたやりとりが想像できる。

今は鉄道自体の民営化、高速化がすすんで安全には神経を尖らせる時代となった。事故でも発生すれば鉄道会社の責任問題になり、訴訟にも影響する。
思うに、時代の変化という理由もあるが、鉄道趣味を支える世代の変化もあるのかもしれない。

その蒸気機関車C57が現在も運行されている磐越西線。
一昨年、C57が検査のため、その代替で、ファンサービスに除雪用ディーゼル機関車・DD53形が登板したことがある。
そのDD53珍しさに試運転から大騒ぎで、田畑は荒れるわ、私有地に立ち入るわ、線路沿いの道路を無謀運転するわ、沿線から苦情が殺到したという。JR東日本新潟支社のHPにも注意を喚起する頁が出来たくらい。
近年、ごく一部の心無い人間のせいで鉄道趣味が迷惑な存在になってしまうのは大変残念なこと。


私は昭和40年代のSLブームに立ち会ったことはないが、資料や思い出話を見聞する限り、少なくとも近頃の社会問題に発展するような事態ではなかったと思う。
この本に掲載されている写真郡の空気から、撮影者は今も昔も良き紳士だと感じさせてくれる。心地よいモノクロ写真。



| Rail&Hand | - | 20:47 | - | - |
+ SELECTED ENTRIES
+ ARCHIVES
+ LINKS
+ PROFILE