先日、母から突然申し出があった。
自分たち夫婦は母方の姓を名のることにする、と。
私の実家は、父方の姓のまま父が婿として来ており、いわゆる「マスオさん」。私はタラちゃんとして育った訳だ。
今回、タラちゃん本人は改姓しないものの、マスオさんとサザエさんが「フグタ」から「イソノ」にしようというもの。
祖母が元気なうちに先祖からの姓を、ということらしいが、今更改姓しても・・という不信感を抱いた。しかも、既に手続きを進めているのだという。
直ちに2つの不安が頭をよぎった。
姓名の画数への懸念。今までの人生、2人とも順風満帆に来たのに、本当に大丈夫か?
それから、母方の姓は女系家系で男性は今一つという歴史がある。どちらかといえば早世されている方、波乱含みの方が多い。
過去に、母方の家系の男は薄幸だから、自分は今の姓が一番だ!と言ったことがある。
決断を下した両親に私が反対する余地はなかった。
本当に、当の父はどう思っているのか。不安材料をそれとなく聞いたら、
「そんなもん、後でどうにかなることや」
と言うだけだった。母と祖母の想いを黙って受け入れたのだろうか。決意したのだろうか。
仕事を終え21:00過ぎ、姫路で下車、繁華街にある伯母さんの店へ行った。とても私が行くような所ではないが、家にまつわることは、この人にしか相談できない。
私の実家のをルーツに、私たちの家系と世間を見てきた方。
「どうしたのかしらね、おばさん(祖母のこと)今さらって感じがするよ。実家に住んでお墓もあるのにね」
「母としては苦労をかけた祖母に人一倍親孝行なのでしょう。だからといって不安要素を踏まなくてもいいのに。ちなみに僕が改姓したら最悪です。ホラ!(スマホで姓名判断サイトを見せる)」
「うわ〜やめとき!でも、おばあちゃんがいなくなった将来、あなたのお母さんは苗字のことを強制しないと思うわよ」
「姓名判断だけじゃないんですよ。ご存知のようにこの家で男性は浮かばれない方が多いでしょう・・」
「そうよ、お父さんの苗字だから元気に育っているって、あなたが小さい頃から思っていたもの」」
「両親が仕事や健康に支障が出ないことを祈るだけです。取りこし苦労かもしれないですけど・・どうして相談せずに決めてしまうかな」
「何か変化があったら教えてちょうだい。ところでお酒飲む?“黒龍”知ってる?大吟醸頂いたの」
先祖からの苗字は大切かもしれない。
しかし、それを優先した為に運気に影響が出るのは避けたい。
私自身はこの地に住んでいても、今の苗字であり続ける。
何よりも妻の実家に申し訳が立たない。苗字ではなく、受け継ぐのは人と心だと思う。
聞きなれない私の苗字は、実は長野県飯田市付近に多く存在する。
すでに長野県に親類はいないが、ルーツは伊那地方だという。実際、現地に行った時、同名の旅館まで存在することを確認した。
今の苗字で自分を引っ張ってきてくれた見えない先祖に感謝している。
僅かながらも信州の血が流れていることを少し誇りに思っている。
ということは、私の子供には新潟が半分、1/20くらい長野が混ざっているかな。
「新ニイ」と「長モト」と「大ヒメ」です(意味不明)
年を重ねると分かるようになるかもしれないが、私の実家がこの先、心配したけどご先祖様が助けてくださった・・と笑って過ごすことになればよいでしょうけど。
4月中旬とは思われぬ寒さ、最終列車が待つホームへ急いだ。
夜が明けて、
淡路島を震源とする地震・・やっぱり波乱含みなのだろうか。