2008.01.31 Thursday
メルクリンを見て
ドイツの老舗鉄道模型メーカー、メルクリングループ。
常に世界トップのシェアを持つ。
ところが昨年、イギリスの投資会社の手に渡り、すったもんだがあった。阪神タイガース買収を画策した某社のように。
先日、ひょんなことから2008年版カタログをもらった。この分厚さと内容を見る限りは安泰と思われる。
同じグループでも、
MARKLINを名乗るのはHO(交流三線)・Z(直流)・1番(交流二線)
TRIXブランドはHOとN(共に直流)
TRIXブランドは1996年、同社がメルクリン傘下に入ったことに由来するが、実質メルクリンの直流仕様。
交流三線方式は触ったことがないので分からないが、とにかくよく走るらしい。メルクリンは親子孫三代使っても壊れないという謡い文句。直流TRIXでもピカイチの性能なのに…。
同グループの車両製品は何よりもその印象把握がすばらしいと思う。
材質の多くはプラスチックとダイキャストだが、鈍い光沢と少し角の取れた造形が何とも云えぬ高級感を出す。
同じドイツのフライシュマン製品は、ビシッと直線で引き締まる冴えた印象が魅力的だが、メルクリンと比較しても捨てがたい好対照を為す。走りも舌を巻くほどの性能。
両社ともに中国には頼らず、メイド・イン・ジャーマニーを貫いている。特に印刷技術はすばらしい。
「フライシュマン」がBMWなら、「メルクリン」はベンツと例えようか。「ロコ」はワーゲン。「KATO」はトヨタか。
かくいう私は、なかなか手が届かないので思わず中古車を物色する。
話が逸れた。
欧米ではHOゲージが主流で、ジオラマ製作と運転が主眼。
機関車から音や煙が出たりする。狭い場所で運転するため、01のような大型機でも、半径360mm程度を回る性能を持つ。
そして入門セットが充実している。本来HOは安い物ではないのだが、最初のセットは機関車一台分だけ頂戴しましょう、安く誘いこんで末永く財布の紐を緩めさせるというメーカーの策略。見事にハメラレタ…。
日本のメーカーも車両工作に偏り気味のHO(16番)をもっと展開できないだろうか。
その昔、カツミやカワイの入門EB機関車があったように。
あまり玩具的では大人向けにならないので…
例えばプラスチック製、蒲原鉄道ED電機+貨車3両に、半径350mm程度の線路付入門セット。今お買い上げの方にはヒルマ製「東加茂駅舎」も付けましょう〜とか。ホラ、団塊世代のお父さんは欲しいでしょう?
既にNゲージが円熟の域に達した今日に思う。いつまでも500系新幹線3両入りではプラレールから脱却できない。
「電車じゃなくて気動車です!」
…ではなくて、もっとおおらかな気持ちで門扉が拓かれたら、鉄道マニアの世界は一過性の流行りにならないだろう。
何か水野良太郎氏みたいな事を言ってる…。あの人の趣旨は好きなので。
(水野良太郎:鉄道愛好家のイラストレーター)
〜安楽マニアの独り言。