2011.04.30 Saturday
魔女の宅急便
半日仕事のあと、姫路文学館よりお呼び出しがあった。
現地でTさんと合流する。
M課長と学芸員のTKさんより、
「7月に“魔女の宅急便”角野栄子の世界を企画しておりまして」
ワタシと魔女の宅急便?何のご縁があるのか。
「主人公の“キキ”が住んだコリコの街をジオラマにして頂きたいんです」
「!」
「立体的な展示物として、子供の目を引くものにしたいんですよ」
「!!」
魔女の宅急便の原作者は角野栄子。1989年に宮崎駿によるジブリアニメ映画として超ヒット作となった。実は大人になってから原作の存在を知った。それだけアニメの印象が大きい。
「僕は子供の頃、あの映画が好きでビデオを何度も見ましたよ」
「こ、子供・・?」
「あ、いや。もう中学生になってましたけど・・」
以前も話したが、TKさんは高校の先輩にあたる方。これはビシッと形にしたい。
ワタシにとって「魔女の宅急便」はアニメの源とも言える作品。
この頃は漫画やアニメが好きで、一人前のヲタクを目指すべく、鉄道とアニメの両立を目指したが、アニメな絵が巧く描けず、両立は「諸刃の剣」になりかねないので諦めた。電車+美少女が描ける人物になれなかった(←ならなくてよろしい; by妻)
たしか主人公「キキ」の声は、当時デビュー間もない高山みなみ。今や国民的人気アニメ「名探偵コナン」の声優さんだ。パン屋のおばさんは、アンパンマンの声の方だと記憶している。
話が脱線気味だ・・。
物語に登場する、架空の海辺の街「コリコ」
スウェーデンのストックホルムや、サンフランシスコ、パリをミックスしたようなイメージで、実際に宮崎駿監督がスウェーデンに旅行した印象を投影していると言われている。
あの映画のストーリーは暗記しているくらいなので、M課長・TKさんと話をするうちに、コリコの街のイメージが、間欠泉のように湧き出してくる。
映画では、
ホウキにまたがって旅立ったキキ。ラジオをつけると・・・
荒井由美の「ルージュの伝言」とともに始まるオープニング。
こうして満月の夜に旅立ったキキ。突然の雷雨をしのぐため、信号場に停車している貨物列車にもぐりこむ。それは牛を運ぶ貨車(家畜車)「カ」で、翌朝、キキは牛に足を舐められる。
そういえば貨物列車の機関車は、犬の鼻みたいな北欧に見られるデザイン。「スウェーデン」に納得がいく。
翌朝、オレンジ色の屋根が広がる海辺の街が見える。
キキはカモメに囲まれながら貨車の屋根から空に舞い上がる。
そこであのメロディーが流れる。
♪ポポン ポポン ポポ〜ポポポ〜
キキが、「見て、海よ!」と叫ぶと、
黒猫が、「なんだ。デッカイ水たまりじゃん」
という。とまあ、あの爽やかな街の印象は今でも脳裏に焼きついている。
そんな仕事を頂けるとは幸せだ。
今回は、原作やアニメのイメージを形にするというもので、前回の「鉄道と旅と文学と」のようなリアリティは追求されないだろう。
問題は時間とコスト。
とりあえず、欧米の鉄道模型の縮尺1/160で、ヨーロッパ型模型の建築物を活用して検討したい。(日本型の民家よりも高級品;)
時計台と坂道の市街地、パン屋は必須だろう。
オレンジ色の屋根に映える青い海も。
おおまかなイメージはあるものの、約2ヶ月という時間との戦いになるだろう。
ワタシも魔法が使えればいいんですけど。