2010.06.17 Thursday
オブジェ
毎日利用する地元の駅。
2番ホーム中央に、今年3月まで使用されていた跨線橋の柱を活用したオブジェが設置された。骨組に使用されていた古いレールも組み合わされている。
「1931に開業した駅の跨線橋の柱にはI.G.R TAKATORI WORKS 1912の刻印があり、他の駅から転用されたものと思われます。
IGRを訳すと“帝国政府の鉄道”という意味になります。100年の歴史を刻んできた柱ですが、これからも駅を見守っていきます。」
という内容の解説が添えられている。
光栄な話題で、街の風土を反映していると評価したい。
廃車された鉄道車両の部品をポツンと置くようなオブジェは痛々しい。例えばK市役所前、N駅跡地にある車輪などは見るに堪えられない。
この柱のほうがよっぽど瀟洒だ。誰のアイディアだろうか。
昨夜、最終列車で到着すると作業員の手で除幕が行われていた。こんな時間でも撮影者が一人。
街へ向かう上り線ホームへの跨線橋を支えていた柱。それは都会への玄関口であり、星の数ほどの旅立ちを見送ってきた柱。
これからも同じ場所で乗客を見送り続ける。
そういえば私が新潟に住んでいた頃、祖母に言わせれば、この駅から帰省の長旅に出ることを訝しく思っていたらしい。ここから出征した自分の兄が帰ってこなかったという理由があるのようだ。
跨線橋が戦時中に存在していたか分からないものの、どんな駅にも歴史を刻む物語が必ず存在する。
大小問わず、駅は心を研ぎ澄まされる空間。単に私が鉄だからではない。
「思い出の駅」というタイトルで作文を募れば集まりそうだ。
♪みおぼえのあ〜る〜レインコ〜ト〜(竹内まりや)
大役を果たし引退した柱は今、何を思う?