2010.12.19 Sunday
GAMBRINUS〜ガンブリヌス
「ガンブリヌス」とは伝説上ではビールを考案した人物「ビールの王様」として崇められている。いやはやまったく素晴らしい人物だ。
グラス片手に大麦の王冠を被った肖像画や像がある。
調べてみると・・
ガンブリヌスは公爵ヤン・プリムス(1371〜1419)の名前が由来だとか、各種伝説があるようで、「乾杯!」でジョッキを合わせる習慣を作ったのもこの人だという記述もあった。ドイツやチェコでは「GAMBRINUS」の看板を掲げる醸造所があるという。
今回はビールではなく、ドイツの鉄道模型のお話。もちろんどちらも好きだが・・。
フライシュマン製HOゲージ「F-Zug GAMBRINUS」
03型蒸気機関車と客車3両のセット。2001年にリリースされたF-Zug50周年記念限定品。
2001年12月、初めてドイツのHOゲージに触れたとき、店頭で一目惚れしたものの、チャンスを逃した。入手困難な限定品。再度チャンスが訪れたこともあったが、逃して久しい。
今回めでたく中古品をお得に入手。しかも未使用、新古品だった。9年越しの恋?が実った。
ヨーロッパの鉄道模型はHOゲージ、プラ・ダイキャスト製の量産品が主流。その楽しみ方は、走らせたりジオラマを作ることに主眼が置かれている。
以前にも記したが、私はドイツの蒸気機関車が好きだ。Gゲージといい、一風変わったマニア。元々、ドイツの汽車が好きでHOゲージに入ったようなもの。現在は日本型車両の台頭ですっかり縮小されてしまったが、ドイツ機だけは大事にしたい。
ちなみにドイツ語で列車のことをZug(ツーク)という。F-Zug=Fernzug(フェルンツーク)つまり、長距離列車ということになる。
F-Zugは1951年、西ドイツで運行が開始された国内長距離優等列車で、蒸気機関車が先頭に立つ最後の華やかな特急運用だった。
戦前からのドイツの優等列車「ラインゴルト」が我が国でいう「つばめ」なら、F-Zugは「かもめ」「はつかり」といったところか。模型の「ガンブリヌス」号は、ミュンヘン〜キールを結んだという。
このF-Zugが後のTEEとして発展を遂げた。ちなみにTEEの赤・クリーム塗装が国鉄の151系特急電車「こだま」に影響を与えたことは周知のとおり。
F-Zugは紺の客車、ワイレッドの食堂車で統一された美しい編成。これがまた赤い動輪の蒸気機関車に良く似合う。ヨーロッパの鉄道模型界では、この1950〜60年代がいつも人気のジャンルらしい。
そういえば日本人も昭和30〜40年代を好む向きは多い・・。
さて、模型の西ドイツ国鉄(DB)「03型蒸気機関車」は東西ドイツ分断間もない頃の仕様?で、DBには珍しいワグナーデフレクタを装備している。ヘッドライトも3灯化前の2灯。
私の下に03は、門鉄デフの原案となったヴィッテデフのDB仕様、ワグナーデフのDR(東ドイツ)仕様の各1両が在籍する。今回の仕様を迎えてフライシュマン03全機種が揃うことになった。
ところで03型は幹線用の01型に対し、亜幹線用の急客機とされる。01よりも細身のボイラー。
日本のC59とC57の関係に似ているかもしれない。
ところが亜幹線といっても、03型の動輪直径は2m、軸重は18t(!)もある。ちなみに一回り大きな01型は軸重20t。日本では考えられない。
美しいスポーク動輪。これが回転すると、まるで機関車が宙に浮いているようだ。
欧州のパシフィック機を見るとキャブ下の従輪がやたら大きいことに気付く。これは火室など重量のかさむ部位の直下にある従輪にかかる負荷を考慮したものらしい。発進時には機関車後部に荷重がかかるので尚更だ。
このことは鉄道先進国のヨーロッパだけあって、黎明期から体得されていたようだ。
日本のC59など、小さな従輪の磨耗、亀裂が激しく、保守に泣かされたらしい。ハドソンのC62では幾分かマシになったようだが。
ところで何故私がフライシュマン製品にこだわるかというと、
〜り
▲妊フォルメ
E描印刷技術
に尽きる。同社の製品展開は頑ななまでにドイツ型一辺倒。
〜行性能は折り紙つきで他社の追従を許さない。フライシュマンよりも安い他社製品はある。しかし、一度走らせるとメイド・イン・ジャーマニーの底力を感じさせてくれる。テンダードライブ方式で、好みは分かれるがこのほうがメンテもカーブ通過も楽。その甲斐あってなんと半径360mmを通過する!
▲咼轡辰板蟲で引いたようなカッチリした出来栄え。例えばプラパーツや配管類の乱れはなく、堅牢で気持ちがいい。アジアの某大国で生産されている、日本型プラ車両のような“曇り”が感じられない。
そして模型化に際し、1cm違わず縮めるのではなく、模型として上から眺めたときの雰囲気、リアルさとは何かを知っている。
くすんだ色合い、鈍い光沢は独特の高級感。プラの質感をうまく隠している。標記などの印刷レベルは高い。
ところで、この「F-Zug GAMBRINUS」に限らず、彼の地ではHOゲージを4両編成程度のパックにした限定セットが多数リリースされている。往年の名列車や、19世紀のカラフルな古典ものなど。マニアをターゲットにしている。パッケージのセンスも上々。「マ○○○エース」のケースと大違い。
他にもHOで線路付入門用セットもある。
HOゲージへの敷居の低さとマーケティングの巧さを感じさせる。
もちろん、セットでは短いという向きに増結車も準備されるが、基本編成は1.5m程度なので、コレクションによし。その走行性能から狭いスペースで楽しむこともできる。
HO(16番)日本型車両の場合、見慣れた列車ゆえにフル編成にこだわってしまい、箱から出さずじまいでにっちもさっちもいかなくなることがある。ブルートレイン「あさかぜ」15連とか・・。
こうして日本型に目を向けると、「N700系新幹線3両セット」がやたらオモチャ臭いと思うのは私だけではないかも。115系電車ならまだ許される?
現在、フライシュマン社は同業者であるロコ社の持株会社の傘下に入り、以前の勢いはない。純粋なドイツの鉄道模型メーカーが消滅してしまった。
蒸気機関車などは引き続き手がけているので安泰か。でもそのうち貴重品になるかも?これからも掘り出し物を探しながら牛歩でフライシュマンを収集したい。
ヨーロッパ鉄道模型の代表格は、交流3線式の「メルクリン方式」に対をなす形で、直流2線式を「フライシュマン方式」と呼ぶことがある。
ちなみに両社の工場は埼玉県坂戸市ではなく、メルクリンはシュトゥツガルト市に近いゲッピンゲン市に、フライシュマンはニュルンベルク市近郊にある。
それぞれの市に本拠地を置く自動車メーカーの雄、メルセデスとBMWのような関係みたいだ。
グラス片手に大麦の王冠を被った肖像画や像がある。
調べてみると・・
ガンブリヌスは公爵ヤン・プリムス(1371〜1419)の名前が由来だとか、各種伝説があるようで、「乾杯!」でジョッキを合わせる習慣を作ったのもこの人だという記述もあった。ドイツやチェコでは「GAMBRINUS」の看板を掲げる醸造所があるという。
今回はビールではなく、ドイツの鉄道模型のお話。もちろんどちらも好きだが・・。
フライシュマン製HOゲージ「F-Zug GAMBRINUS」
03型蒸気機関車と客車3両のセット。2001年にリリースされたF-Zug50周年記念限定品。
2001年12月、初めてドイツのHOゲージに触れたとき、店頭で一目惚れしたものの、チャンスを逃した。入手困難な限定品。再度チャンスが訪れたこともあったが、逃して久しい。
今回めでたく中古品をお得に入手。しかも未使用、新古品だった。9年越しの恋?が実った。
ヨーロッパの鉄道模型はHOゲージ、プラ・ダイキャスト製の量産品が主流。その楽しみ方は、走らせたりジオラマを作ることに主眼が置かれている。
以前にも記したが、私はドイツの蒸気機関車が好きだ。Gゲージといい、一風変わったマニア。元々、ドイツの汽車が好きでHOゲージに入ったようなもの。現在は日本型車両の台頭ですっかり縮小されてしまったが、ドイツ機だけは大事にしたい。
ちなみにドイツ語で列車のことをZug(ツーク)という。F-Zug=Fernzug(フェルンツーク)つまり、長距離列車ということになる。
F-Zugは1951年、西ドイツで運行が開始された国内長距離優等列車で、蒸気機関車が先頭に立つ最後の華やかな特急運用だった。
戦前からのドイツの優等列車「ラインゴルト」が我が国でいう「つばめ」なら、F-Zugは「かもめ」「はつかり」といったところか。模型の「ガンブリヌス」号は、ミュンヘン〜キールを結んだという。
このF-Zugが後のTEEとして発展を遂げた。ちなみにTEEの赤・クリーム塗装が国鉄の151系特急電車「こだま」に影響を与えたことは周知のとおり。
F-Zugは紺の客車、ワイレッドの食堂車で統一された美しい編成。これがまた赤い動輪の蒸気機関車に良く似合う。ヨーロッパの鉄道模型界では、この1950〜60年代がいつも人気のジャンルらしい。
そういえば日本人も昭和30〜40年代を好む向きは多い・・。
さて、模型の西ドイツ国鉄(DB)「03型蒸気機関車」は東西ドイツ分断間もない頃の仕様?で、DBには珍しいワグナーデフレクタを装備している。ヘッドライトも3灯化前の2灯。
私の下に03は、門鉄デフの原案となったヴィッテデフのDB仕様、ワグナーデフのDR(東ドイツ)仕様の各1両が在籍する。今回の仕様を迎えてフライシュマン03全機種が揃うことになった。
ところで03型は幹線用の01型に対し、亜幹線用の急客機とされる。01よりも細身のボイラー。
日本のC59とC57の関係に似ているかもしれない。
ところが亜幹線といっても、03型の動輪直径は2m、軸重は18t(!)もある。ちなみに一回り大きな01型は軸重20t。日本では考えられない。
美しいスポーク動輪。これが回転すると、まるで機関車が宙に浮いているようだ。
欧州のパシフィック機を見るとキャブ下の従輪がやたら大きいことに気付く。これは火室など重量のかさむ部位の直下にある従輪にかかる負荷を考慮したものらしい。発進時には機関車後部に荷重がかかるので尚更だ。
このことは鉄道先進国のヨーロッパだけあって、黎明期から体得されていたようだ。
日本のC59など、小さな従輪の磨耗、亀裂が激しく、保守に泣かされたらしい。ハドソンのC62では幾分かマシになったようだが。
ところで何故私がフライシュマン製品にこだわるかというと、
〜り
▲妊フォルメ
E描印刷技術
に尽きる。同社の製品展開は頑ななまでにドイツ型一辺倒。
〜行性能は折り紙つきで他社の追従を許さない。フライシュマンよりも安い他社製品はある。しかし、一度走らせるとメイド・イン・ジャーマニーの底力を感じさせてくれる。テンダードライブ方式で、好みは分かれるがこのほうがメンテもカーブ通過も楽。その甲斐あってなんと半径360mmを通過する!
▲咼轡辰板蟲で引いたようなカッチリした出来栄え。例えばプラパーツや配管類の乱れはなく、堅牢で気持ちがいい。アジアの某大国で生産されている、日本型プラ車両のような“曇り”が感じられない。
そして模型化に際し、1cm違わず縮めるのではなく、模型として上から眺めたときの雰囲気、リアルさとは何かを知っている。
くすんだ色合い、鈍い光沢は独特の高級感。プラの質感をうまく隠している。標記などの印刷レベルは高い。
ところで、この「F-Zug GAMBRINUS」に限らず、彼の地ではHOゲージを4両編成程度のパックにした限定セットが多数リリースされている。往年の名列車や、19世紀のカラフルな古典ものなど。マニアをターゲットにしている。パッケージのセンスも上々。「マ○○○エース」のケースと大違い。
他にもHOで線路付入門用セットもある。
HOゲージへの敷居の低さとマーケティングの巧さを感じさせる。
もちろん、セットでは短いという向きに増結車も準備されるが、基本編成は1.5m程度なので、コレクションによし。その走行性能から狭いスペースで楽しむこともできる。
HO(16番)日本型車両の場合、見慣れた列車ゆえにフル編成にこだわってしまい、箱から出さずじまいでにっちもさっちもいかなくなることがある。ブルートレイン「あさかぜ」15連とか・・。
こうして日本型に目を向けると、「N700系新幹線3両セット」がやたらオモチャ臭いと思うのは私だけではないかも。115系電車ならまだ許される?
現在、フライシュマン社は同業者であるロコ社の持株会社の傘下に入り、以前の勢いはない。純粋なドイツの鉄道模型メーカーが消滅してしまった。
蒸気機関車などは引き続き手がけているので安泰か。でもそのうち貴重品になるかも?これからも掘り出し物を探しながら牛歩でフライシュマンを収集したい。
ヨーロッパ鉄道模型の代表格は、交流3線式の「メルクリン方式」に対をなす形で、直流2線式を「フライシュマン方式」と呼ぶことがある。
ちなみに両社の工場は埼玉県坂戸市ではなく、メルクリンはシュトゥツガルト市に近いゲッピンゲン市に、フライシュマンはニュルンベルク市近郊にある。
それぞれの市に本拠地を置く自動車メーカーの雄、メルセデスとBMWのような関係みたいだ。