Zakkan (雑感)

趣味の雑感。
続続・近江散歩
急に暗くなってきた。西のほうでは激しい雷雨のようだ。
16:20彦根到着。小雨が降る中、駅構内の「近江鉄道ミュージアム」へ向かう。
近江鉄道は彦根駅に車庫がある。博物館はその一角を改装したもの。この鉄道、古い電気機関車を数多く保有している。大正時代にアメリカやイギリスから輸入され、東海道線等で使用された機関車達。国鉄や西武鉄道から払下げを受けて、20年位前まで使用していた。現在は貨物輸送そのものが廃止され、構内に放置してあったものを整備して屋外に展示している。
昔のままの鉄道設備や、保存車両。古いものを大事にする近江商人の気質が感じられる。


日本離れした無骨なデザインに歴史的価値を感じる。頑固爺さんが一線を退き、孫たちの活躍を見守っているようだ。
「せっかく来はったのに雨やねぇ」
管理人のおばちゃんが言う。

雨は本格的になってきた。蒸し暑い。彦根駅前の平和堂でも、彦根城築城400年記念として、近江鉄道の展示を開催しているらしい。琵琶湖側の駅前へ出る。

足を踏み入れて驚いた。1/150スケールで、近江鉄道沿線を忠実に再現したジオラマがある。


建物は全てボール紙等で製作しているらしい。先程まで乗車してきた風景そのものが再現されている。彦根の車庫、分岐する高宮駅、赤い屋根の鳥居本、愛知川の鉄橋・・・出るのはため息ばかり。
この種のイベントでありがちな、ちょっとこの辺は既製品でお茶を濁したというような微塵のひとつも感じられない。これは脱帽。イイモノを拝見できた。
作者は滋賀県立大の大学院生・渡辺さんという方。穏やかな物腰の方で、感想を述べたら何度も御礼を言われた。カッチリ作りこまれた建物に「理系」を感じる。

彦根から米原へ最後の区間。雨は小降りになった。それにしても蒸し暑い。冷たいものが欲しくなる。先程模型で見た「鳥居本駅」の昭和初期の赤い屋根の洋風駅舎を横目に17:33終点・米原到着。

米原は東海道と北陸道が分岐する交通の要所。
3つ先の長浜の「鳥喜多」で夕食を取るため、JRに乗るも、先程の雷雨で遅れているようだ。

長浜市はここ十数年ですっかり観光地となった。黒壁の街並みやレトロな店など。新快速の終点となった影響が大きいのだろう。駅舎もレトロなものになっている。
「鳥喜多」の親子丼と鳥鍋は絶品。至って普通の食堂なのに。2年ぶりに食べたかったが、まだ18時だというのに閉店。材料がなくなったら終わるようだ。
他の店も営業終了が多い。気を取り直して歩くことしばし。仕出屋の副業みたいな食堂を見つけた。誰も入っていなかったが。


「焼鯖素麺」を注文。湖北地方の郷土料理とのことで、いかにも鯖街道の支線らしい。
私のところでは、鯛素麺は食べるが、鯖は初めてだ。
今日は暑かったのでこれがまたビールによく合う。(また飲んでる・・)

缶ビールを買って、19:02長浜始発の新快速で帰路につく。遅れが少々気になるが・・。
濃い鉄分の1日。とても有意義な近江散歩だった。(Fin)
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続・近江散歩

貴生川からは近江鉄道。こちらは電化されており、貴生川から八日市・彦根を経て、米原を結ぶ本線と、八日市〜近江八幡、高宮〜多賀大社の支線を有する、全長約60kmのローカル線。切符にハサミを入れてもらうのは、今となっては懐かしい。
滋賀県の人達は近江鉄道を「ガチャコン」と呼ぶらしい。そのガチャコンと音をたてて走る様子のイメージからか。
西武グループなので、ライオンズ色の電車が停車していた。本家西武鉄道ではあまり見かけない色だが・・。12:55発車。

近江鉄道はただのローカル線に見えるが、実は1896年開業という歴史を持つ。新橋〜横浜に初めて汽車が走ったのが1872年(明治5年)なので、日本の鉄道では指で数える中に入るほどの古豪。近江商人と彦根藩士の苦労によって敷設されたという。
今も古い駅やレンガ積のトンネル等がそのまま残っている。

まばらな乗客、冷房のよく効いた昼下がりの車内は眠くなってくる。特に、貴生川〜八日市は閑散区間で、山野を縫ってのんびり走る。水稲はもう穂が出ている。

八日市に到着。折角なので近江八幡までの路線も往復することに。JRに連絡するためか、先程より車内は盛況。京都か草津へショッピングに行く雰囲気の人が多い。私は昨夜遅かったので、居眠りにちょうどよい。乗車した西武鉄道お古の電車は車体が長いので、急カーブでぶつからないように、黄色い電車がチーズのように、ボディ角を切り落としてあるのが面白かった。
再び八日市に戻ると、待ち時間が出来てしまった。駅前の平和堂でお茶を飲んで時間をつぶす。地方のショッピングセンターの休日は盛況。外は溶けるような猛暑。


再び東を目指す。車内に自転車を積んでいる人がいる。日中は自転車持込可能らしい。それでもガラ空きなのでいっこうに構わない。部活帰りの高校生はアイスを食べている。ブレーキが掛かると、ベビーカーがゆっくり前方へ転がってゆく。前にいた別のお客さんが止めて、笑顔がこぼれる。何とものどかな光景。
 すると、豊郷駅からウォーキング姿の中高年団体が大挙して乗ってきた。50名はいる。歴史ウォークみたいなやつか。車内は養鶏場のように賑やかになる。同時に汗臭と加齢臭?が充満する。

我々は2つ先の高宮で下車。
ここから多賀大社まで1駅の支線が出ている。多賀大社は有名な神社だが、以前行ったことがあるので今回は往復するだけ。そういえば電車の運転席に貼ってある、交通安全のお守りも「多賀大社」だった。


乗り換えに20分ほどあるので構内を観察する。Y字型に線路が分岐した股の部分に三角形のホームがある。屋根は木造。駅員が配置されており、「打ち水」をしている。
「♪消し忘れたままの伝言板 打ち水する若い駅員 次の汽車で君は帰ってくるよ 新しい靴は少し痛い」
渡辺美里の曲(「すき」:1989年)でしか聴いたことがないが、本当にやっているのを見るのは初めてだった。
側線には使用されなくなった電車や貨車が留置してある。解体せずに捨ててあると言ったほうがよいのか、5年ほど前に来た時から移動していない。マニアには楽しい場所。
彦根方面からの電車が到着すると、3人の乗り換え客があり、すぐ発車。
5分ほど走って、名神高速が見えるとすぐ終点・多賀大社前。
昔はここから貨物で石灰石を出荷していたらしく、構内は広い。何故か新しいレールもあるので、初詣の臨時列車を止めたりするのだろうか。
「あんたら降りんのやね?」
と、運転士が言ってドアを閉める。すぐ折り返し。(続く)

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